東京編|五色不動尊5色6寺院の巡り方

旅する

東京編

五色不動尊(ごしきふどうそん)5色6寺院を、木・火・土・金・水の順に巡る

この巻について

全国編では、山や水、鉱物、仕事と信仰のつながりを見てきました。

東京編では、同じ目線で江戸の道、坂、川、門前町を歩きます。

江戸の街に点在する五色不動尊は、目青(めあお)・目赤(めあか)・目黄(めき)・目白(めじろ)・目黒(めぐろ)の五色で語られます。

目黄不動には二つの寺院があるため、本書では「5色・6寺院」として紹介します。

一日で全部回ることを目的にせず、寺の由緒(ゆいしょ)と街の地形を味わいながら、木・火・土・金・水の順に歩いていきましょう。

第1章 五色不動尊を知る

東京で街歩きの巡礼をするなら、五色不動尊は取り組みやすいコースです。

住宅街、坂道、川沿い、昔の門前町を通りながら、五つの色をたどります。

五色不動尊は神社ではなく、不動明王(ふどうみょうおう)をまつる寺院です。鳥居を探すのではなく、山門やお堂を目印にし、寺院の案内に従って静かに合掌(がっしょう)します。

五色不動が現在どの寺院にまつられているか、また目黄不動に二つの伝え方があることは、江戸東京博物館の調査案内でも確認できます。

五つの色、でも寺院は六つ

五色不動尊は、青・赤・黄・白・黒の名を持つ不動尊を巡る、東京の寺院巡礼です。

目黄不動だけは、三ノ輪の永久寺(えいきゅうじ)と平井の最勝寺(さいしょうじ)の二寺が伝わります。今回は両方の言い伝えを尊重し、「5色・6寺院」として巡ります。

五色不動には、徳川家が江戸を守るために置いたという伝承があります。

一方で、色の由来や寺院の数には複数の説明が残ります。どれか一つを急いで正解にせず、各寺院の由緒を読み比べることも、この巡礼の楽しみだと思います。

  • 五色不動尊は神社ではなく、不動明王をまつる寺院です。二礼二拍手一礼はせず、賽銭箱(さいせんばこ)の前では姿勢を整え、静かに手を合わせます。個別の案内があれば、その作法を優先します。
  • 五行(ごぎょう)の流れに沿う場合は、「木=目青、火=目赤、土=目黄、金=目白、水=目黒」の順に巡ります。本書の地図・一覧・モデルコースも、この順番です。ただし、体調や時間に合わせて中止・延期しても問題ありません。
  • 目黄不動は、台東区三ノ輪の永久寺と江戸川区平井の最勝寺の二寺が伝わります。「どちらが本物か」を競わず、両寺が受け継いできた歴史を尊重します。時間に余裕があれば両方へ参拝します。
  • 不動明王は「お金を増やす神様」ではありません。この巡礼では、迷いや執着を見つめ、支出、仕事、人間関係を一度整理する時間として各寺院を巡りたいです。

五色不動尊は「5色・6寺院」

1 木・目青不動

教學院(最勝寺)

世田谷区太子堂4-15-1

三軒茶屋駅から徒歩3〜5分

木。正式名は竹園山最勝寺教學院。三軒茶屋の市街地に残る緑と目青不動を訪ねる。

2 火・目赤不動

南谷寺

文京区本駒込1-20-20

本駒込駅から徒歩4分

火。赤目山で授かった不動像を「赤目」と称し、のちに「目赤」と改めた由緒をたどる。

3 土・目黄不動

永久寺

台東区三ノ輪2-14-5

三ノ輪駅から徒歩2分

土。14世紀ごろの開創と伝わり、焼失と再建を重ねた三ノ輪の古い寺。目黄不動の一寺として伝わる。

3補足 土・目黄不動

最勝寺

江戸川区平井1-25-32

平井駅南口から徒歩15分

土の別説。本所から平井へ移り、土地の変化とともに目黄不動の信仰を受け継ぐ。

4 金・目白不動

金乗院

豊島区高田2-12-39

都電・学習院下停留場周辺

金。現在は金乗院でまつられている。目白の名、宿坂、神田川沿いの地形と寺院の歴史をたどる。

5 水・目黒不動

瀧泉寺

目黒区下目黒3-20-26

不動前駅から徒歩15分

水。平安時代の始めに開かれたと伝わる寺。独鈷(とっこ)の滝と、江戸の参拝・行楽でにぎわった門前の歴史に触れる。

第2章 5色・6寺院を訪ねる

1.木・目青不動・教學院(きょうがくいん):三軒茶屋の駅近くに残る静かな境内

正式名称は、竹園山(ちくえんざん)最勝寺教學院。

天台宗の寺院で、目青不動と関東三十六不動の第16番札所です。

東急田園都市線の三軒茶屋駅から徒歩5分、世田谷線の駅からは徒歩3分ほど。にぎやかな駅前から境内へ入ると、緑と静けさが残ります。

公式案内では開門6時〜17時、御朱印受付9時〜16時30分です。行事などで変わる場合があるため、当日も確認してください。

書き手が不在のとき、御朱印は書き置きになります。

公式サイトでは教學院だけの御守や限定授与品は確認できません。

御朱印の有無だけに気持ちを向けず、不動堂、樹木、街の音が遠のく感覚をゆっくり味わいます。

2.火・目赤不動・南谷寺(なんこくじ):赤目から目赤へ、名前の変化をたどる

文京区の案内では、万行和尚(まんぎょうおしょう)が伊勢国の赤目山で不動明王像を授かり、「赤目不動」と呼んだのが始まりです。

その後、三代将軍・徳川家光の命で「目赤」と改めたと伝わります。

東京メトロ本駒込駅から徒歩4分ほど。駅を出たら、赤目から目赤へ変わった名前を思い出しながら山門へ向かいます。

目赤不動の本尊は、酉(とり)年だけ公開される秘仏(ひぶつ)と紹介されています。

ふだんは拝観できると思い込まず、お堂の前で静かに手を合わせます。南谷寺だけの御守や御朱印について、現在の公式案内は確認できません。希望する場合は、現地で授与されているかを尋ねてください。

3-1.土・目黄不動・永久寺(えいきゅうじ):焼失と再建を重ねた三ノ輪の寺

台東区の公式観光情報では、永久寺は14世紀ごろに開かれ、戦乱などで何度も焼け、そのたびに再建されたと紹介されています。

東京メトロ三ノ輪駅から徒歩2分ほど。山門を入ると、樹齢千年を超えると伝わる松が迎えます。まず松を見上げ、寺が長い時間を受け継いできたことを感じてから不動堂へ向かいます。

現在の自治体・宗派の案内には、永久寺だけの御守や限定授与品の一覧はありません。授与品を探すことより、山門の松と不動堂を丁寧に見ることを優先します。平井の最勝寺も巡るなら、二寺が受け継いだ目黄不動の歩みを読み比べてみましょう。

3-2.土・目黄不動・最勝寺(さいしょうじ):本所から平井へ移った不動信仰

江戸川区の案内では、最勝寺はもと本所にあり、1913年に現在の平井へ移りました。不動堂の不動明王坐像(ふどうみょうおうざぞう)は高さ127センチ。二体の童子像を従える三体一組の形で、江戸川区の登録有形文化財です。JR平井駅南口から徒歩15分ほど歩きます。

現在の寺院・自治体の公式情報には、最勝寺だけの御守や限定授与品の案内はありません。本所から平井へ移った歴史と、文化財である不動明王像に注目です。

4.金・目白不動・金乗院(こんじょういん):移転の歴史と宿坂を歩く

金乗院の正式名は、神霊山金乗院慈眼寺(じげんじ)です。

目白不動尊は、もと文京区関口の新長谷寺にありましたが、戦災でお堂を失い、戦後に金乗院へ移されました。もともとの観音信仰と目白不動の信仰が、一つの寺で受け継がれている点が大きな特色です。

現在の寺院・自治体の公式情報には、金乗院だけの御守や限定御朱印の授与条件は掲載されていません。都電の学習院下停留場から宿坂(しゅくざか)を歩き、神田川との高低差を感じながら、目白不動がこの場所へ移された歴史をたどってみてはいかがでしょうか。

5.水・目黒不動・瀧泉寺(りゅうせんじ):独鈷(とっこ)の滝と江戸の門前文化

目黒区の案内では、平安時代の初め、慈覚大師円仁(じかくだいし・えんにん)が夢で不動明王を見て、その像を刻んだことが寺の始まりとされています。

江戸時代には将軍家の保護を受け、参拝と行楽の人で門前町がにぎわいました。境内では、独鈷の滝、前不動堂、本堂裏にある青木昆陽(あおきこんよう)の墓に注目します。

御朱印は通常、あらかじめ書かれた朱印紙で授与されます。縁日と日曜・祝日には、持参した朱印帳へその場で書く案内があります。受付方法や時間は変わる場合があるため、出発前に公式FAQを確認してください。御守と御札はありますが、目黒不動だけの授与品一覧は現在公開されていません。

第3章 無理なく巡るための計画

  • 木火土金水(目青→目赤→目黄→目白→目黒)の順で巡る。目黄は永久寺を本順の「土」とし、最勝寺は3番の補足として組み込む。
  • 各寺院の開門時間、御朱印受付、行事予定を公式情報で確認する。受付終了時刻を先にメモし、御朱印を集めることより参拝を優先する。
  • 一日で急いで回るより、「木・火・土」と「金・水」に分ける二日コースを基本にする。歩きやすい靴、飲み物、交通系ICカード、雨具を用意する。
  • 境内や住宅地では大声、通路をふさぐ撮影、無断撮影を避ける。拝観できない場所へ入らない。

一日で巡る場合の順番(5色+目黄のもう一寺)

  • 木・目青不動(教學院)から開始。三軒茶屋の市街地に残る緑と、竹園山最勝寺教學院の不動堂を静かに訪ねる。
  • 火・目赤不動(南谷寺)へ移動。赤目から目赤へと名が変わった由緒を確かめ、本駒込の寺町を歩く。
  • 土・目黄不動(永久寺)へ進む。焼失と再建を重ねた三ノ輪の古い寺で、目黄不動の一寺に触れる。
  • 時間と体力に余裕があれば平井の最勝寺へ。もう一つの目黄不動と、本所から移った寺の歴史をたどる。
  • 金・目白不動(金乗院)へ。目白不動が現在地へ移された経緯と、宿坂・神田川周辺の地形をたどる。
  • 水・目黒不動(瀧泉寺)で締める。独鈷の滝、お堂、江戸の参拝と行楽でにぎわった門前の歴史を見る。

このコースでは、木・火・土・金・水の順を保ちながら、電車と徒歩で移動します。

目黄不動を二寺とも巡る場合は、永久寺のあとに平井の最勝寺へ寄り、それから目白、目黒へ進みます。移動距離が長いため、朝から時間を取り、途中で切り上げる時刻も決めておきます。

時間が足りなければ、無理をせず二日目に回します。

休憩を削って急ぐより、一寺ごとに落ち着いて手を合わせる時間を残しましょう。

木・火・土・金・水の順を保つ、ゆったり2日コース

  • 1日目:木・目青不動 → 火・目赤不動 → 土・目黄不動(永久寺)。時間に余裕があれば、同じ「土」の補足として最勝寺へ。
  • 2日目:金・目白不動 → 水・目黒不動。最勝寺を1日目に回れなかった場合は、2日目の最初に参拝してから目白・目黒へ進み、「5色・6寺院」を完成させる。

一日で全部回れたかどうかは、それほど大切ではありません。

由緒を読み、街の暮らしに配慮しながら、静かに手を合わせる。

数をこなすより、一か所ずつ景色を味わう巡り方がおすすめです✨️

________________

東京編のおわりに:色から、土地の記憶へ

五色不動尊を歩くと、寺院の由緒だけでなく、坂、川、旧街道、門前町といった東京の地形が見えてきます。五つの色は、街を読み直すための目印でもあります。

全部を一日で回れなくても構いません。気になった一寺で立ち止まり、お堂、樹木、坂や川など周囲の景色を静かに味わうことが、この巡礼の中心です。

次の「近畿・祓詞編」では、都市の道から山と巨岩の聖域へ移ります。

大神神社・玉置神社・神倉神社を巡り、祓詞(はらえことば)の本文、読み方、現代語訳を紹介します。

コメント

タイトルとURLをコピーしました