すぐに役に立たないことにも、あえて力を注ぐ。
一見効率が悪そうに見えますが、実はこれこそが将来の自分を守る「最強の装備」になるかもしれません。
今回は、40代の会社員として15年の投資経験を積んだ私の視点から、芸術や哲学といった「すぐには役に立たない知識」がもたらす驚くべき価値についてお話しします。
1. すぐに役立つ情報は、すぐに役立たなくなる
現代はタイパ(タイムパフォーマンス)が重視され、明日から使えるスキルや、今すぐ儲かる投資先といった情報があふれています。
しかし、こうした「すぐに役立つ情報」には大きな落とし穴があります。
それは、賞味期限が非常に短いということです。
例えば、最新のSNS攻略法や特定のITツールの操作法などは、習得した瞬間には役に立ちますが、技術の進歩や流行の変化によって、数年後には全く使い物にならなくなることが珍しくありません。
最近話題の「リスキリング(学び直し)」も同様です。
特定の業務スキルだけを追い求めていると、そのスキルがAIに代替された途端、自分の中に何も残らなくなってしまうリスクがあります。
登山に例えるなら、これらは「その日の天候に合わせた装備」のようなものです。
もちろん大切ですが、山への道そのものが変わってしまったら、役に立たなくなってしまいます。
2. 芸術、哲学、歴史が「人生の基礎体力」になる理由
一方で、芸術や哲学、歴史、文学といった分野は、学んですぐに給料が上がったり、投資の利益が出たりすることはありません。
しかし、これらは時代が変わっても価値が色あせない「不易(ふえき)」の知恵です。
歴史を学ぶことは、人間が過去にどんな失敗をし、どう乗り越えてきたかという「共通のパターン」を知ることです。
哲学は、自分の頭で「何が正しいか」を考えるための判断軸を養ってくれます。
これらは、特定のスキルが通用しなくなった時でも、新しい状況を正しく理解し、適応するための「基礎体力」となります。
私は趣味で奈良検定や京都検定、神社検定を取得しましたが、これらで得た知識は一見、仕事には無関係です。
しかし、古い建造物が何百年も残り続けている理由や、そこに込められた思想を知ることで、資産形成における「長期的な視点」が自然と身につきました。
また副次的に、話の引き出しが増えたことは、確実に人生にとってプラスになっていると思います。
3. 「将来、芽が出るかも」という余裕が複利を生む
すぐに役に立たないことに力を注ぐのは、未来に向けて「種をまく」行為に似ています。
投資信託の積立と同じで、始めたばかりの頃は何も起きていないように見えますが、10年、20年という時間をかけることで、ある日突然、過去に学んだ知識がつながり、大きな成果となって現れることがあります。
例えば、文学作品を通じて得た「人の心の機微」を理解する力は、将来、リーダーシップを求められる立場になった時に、どんなテクニカルな管理術よりも役に立つでしょう。
また、芸術に触れて養った感性は、AIが生成する大量の情報の中から、本当に価値のあるものを見抜く力となります。
知識の習得には「複利」が働きます。
今はバラバラに見える「点」が、数年後に思いがけない形で結びつき、「線」や「面」となって自分を支えてくれる。
その余裕を持つことが、不確実な時代を生き抜く武器になります。
4. まとめ:無駄を楽しめる人が、最後に笑う
資産形成において最も大切なのは「市場に居続けること」ですが、人生においても同じです。
特定のスキルに依存せず、幅広い教養という「最強のウェア」を身にまとっている人は、
どんな嵐が来ても立ち止まらずに歩き続けることができます。
一度、「これを学んで何の役に立つのか?」という効率重視の考えを手放してみてはどうでしょうか。
図書館でたまたま目に入った歴史書を手に取る、
美術館で一枚の絵をじっくり眺める。
そんな「すぐには役に立たない時間」こそが、将来のあなたを助ける、何物にも代えがたい資産になるはずです。
人生は、山頂にたどり着くことだけが目的ではありません。
登るプロセスそのものを、豊かな知識と共に楽しんでいきましょう。

