1.財産だけじゃない。大切なのは「心のバトン」を渡すこと
みなさんはエンディングノートと聞くと、どんなイメージを持ちますか?
「死ぬ準備なんて、まだ早いよ」とか「遺産相続の話でしょ?」と思うかもしれませんね。
どうしてもお金の分け方ばかりが注目されがちです。
でも、エンディングノートの本当の価値は、財産分与のような「数字」だけではありません。
それは、あなたがこれまで歩んできた道のりや、家族、友人といった大切な人たちへの「思い」を言葉にする貴重な機会です。
私が趣味にしている登山では、山頂を目指すことも大切ですが、
それ以上に「仲間とどんな景色を見て、どんな会話をしたか」というプロセスが記憶に残ります。
20年近く経ちますが、学生時代に一緒に山に登った友人達とは、
いまでも当時の話を語り合ったりします。
人生も同じです。
あなたが何を大切にし、周りの人にどんな感謝を抱いているのか。
それを書き残すことは、大切な人へ「心のバトン」を渡す儀式のようなもの。
形のない思いを言葉にすることで、それは家族にとって一生の宝物になります。
2.書くことで気づく「もっと、ああしておけばよかった」の本音
ノートを書き進めていくと、不思議なことが起こります。
自分の人生を振り返りながら
「もし明日、山を下りることになったら(人生が終わったら)」
と想像してみると、心の奥底にある本音が見えてくるのです。
「預金残高をもっと増やしたかった」と書く人は、意外と少ないと思います。
というか、お金を増やすことの価値が薄まる人がほとんどではないでしょうか。
むしろ、
「あの日、もっと素直にありがとうと言えばよかった」
「あの時、勇気を出して挑戦しておけばよかった」という、
行動や関係性に対する「もっと、ああしておけばよかった」という気づきが溢れてきます。
これは決して後ろ向きなことではありません。
自分が何に後悔を感じるのかを知ることは、
自分自身の本当の価値観を知ることだと思います。
読書を通じて先人の知恵を学ぶように、
自分自身の過去を「棚卸し」することで、これからの人生で何を優先すべきかが、
霧が晴れるようにはっきりと見えてきます。
3.「やりたいこと」を先送りにしない。後悔なき人生の歩き方
私自身も、ノートを書きながら自分に問いかけてみました。
「もっと一緒に過ごしたい時間はなかったか」
「もっと行きたい場所はなかったか」
「もっと話したいことはなかったか」
私たちはつい、
「仕事が落ち着いたら」
「お金が貯まったら」
「子どもが大きくなったら」と、大切なことを後悔なく過ごすための時間を先送りにしてしまいがちです。
しかし、人生という山には、登れる時期(旬)があります。
体力があるうちに登りたい山、家族が一緒に歩いてくれる時期、両親が元気なうちに伝えられる言葉。
『DIE WITH ZERO(ゼロで死ぬ)』という本でも語られているように、
経験には「賞味期限」があります。
エンディングノートは、その期限に気づかせてくれるアラームです。
後回しにしていた「やりたいこと」を今すぐスケジュール帳に書き込みましょう。
後悔をゼロにすることは難しくても、このノートを書くことで、
後悔を最小限にするための具体的な行動が始まります。
4.最後を意識することで、今日という一歩が愛おしくなる
「メメント・モリ(死を忘れるな)」という言葉があります。
人生の終わりを意識することは、決して怖いことでも暗いことでもありません。
むしろ、終わりがあるからこそ、今この瞬間の輝きが増すのです。
登山でも、下山の時刻が決まっているからこそ、
山頂での一杯のコーヒーが格別に美味しく、一歩一歩を大切に踏みしめることができます。
資産形成も同じです。
ただ漠然とお金を貯めるのではなく、
「いつか来る終わりの日に、最高に幸せだったと笑うため」に今の資産をどう使うかを考える。
これが本当の意味でのライフプランニングだと思います。
エンディングノートは「死ぬための準備」ではなく、
「残りの人生をより良く生きるための作戦会議」です。
これからの人生をより良くいきるため、、
そのための重要なツールだと感じています。

